2022-01-01から1年間の記事一覧

フランス語版資本論「第六章 労働力の売買」から,こだわりのロッシの引用部分を考える

全体を読んだわけでもないのに恐縮であるが,フランス語版資本論の日本語訳の読み易さはずば抜けているのではないか。同書の上巻の訳者解題を読むと,フランス語版資本論は,『マルクスがみずからドイツ語第二版に筆を加えて,ジョゼフ・ロアにフランス語文…

動詞性名詞としてabstractionをとらえてみる

Wikipediaはありがたい。辞書を引かなくても簡単に探しているものにとりあえず行きつける。今回そう思った理由は,名詞にもいろいろあると思って,「名詞」を引いたからである。 そして「名詞」のWikipediaを引くと,「狭義の名詞」という説明があり,分類と…

ロッシはなにを考えていたか

前回のブログの記事の続きになるが,「資本論」においてマルクスはロッシの言説を批判している。しかし,「資本論」を読んで,マルクスがロッシの何を批判しているのかが分かり難い。それが,この間の記事で取り上げた問題の背景にある。ロッシの主張は,彼…

マルクスのArbeitsvermögenとHirngespinstについてのフランス語の原文の付加について

マルクス「資本論」第1部「資本の生産過程」第2編「貨幣の資本への転化」第4章「貨幣の資本への転化」第3節「労働力の売買」の中で,ロッシの本の文を引用して,彼の労働力の価値規定を批判するくだりがある(原典187頁第3段落から第4段落)。その引用部分は…