ドイツ難語句について

ドイツ難語句というサイトがあった。

ドイツ難語句/ギリシア・ラテン語句の意味 (ntaki.net)

ここに,abstrahierenについての解説があった。ここで,上記URLの解説を採録させていただくと,

 解説:どちらの意味になるかということですが:
(1) 「aus etwas(3 格)+etwas(4 格)+abstrahieren」のように、aus と共に他動詞として使われていれば、主語が etwas(3 格)から etwas(4 格)を「抽象する」と、一応は言えそうです。
 小学館『独和大辞典 第 2 版』の abstrahieren の項目には、例文として:
 aus et. allgemeine Prinzipien abstrahieren 「・・・から一般原則を抽象する」

(2) 「von etwas(3 格) abstrahieren」 のように、von と共に自動詞として使われていれば、主語が etwas(3 格)を「捨象する」となります。「etwas(3 格)から抽象する」という意味にはなりません。
 また、「Es wird von etwas(3 格) abstrahiert」 のように、自動詞 abstrahieren が過去分詞になり受動形として使われているときにも、やはり etwas(3 格)が「捨象される」となります。』

とされている。(1)はabstrahierenが他動詞として,(2)はabstrahierenが自動詞として活用されていると言って良いだろう。

ということで改めて

『資本論』にでてくるabstraction(続き)

をみると,Rossiの文章とされるものは,

"von den Subsistenzmitteln der Arbeit während des Produktionsprozesses abstrahiert"である。abstrahiertがvonとともに使われていて,まさに(2)に該当するので,ここでのabstrahierenの意味は捨象するというものになる。

さらに,

『資本論』にでてくるabstraction

のコメントでのIkimono-Nigiwai氏の指摘は,abstrahierenが自動詞か他動詞かという観点で,Ikimono-Nigiwai氏は自動詞であると言っている。

 しかし,この指摘をkamiyakenkyujo氏は次のブログでは特に注目せずに,意味の整合性という点でのみ議論している。その意味では,Ikimono-Nigiwai氏のコメントを議論しているように見えて,実は議論していない。

 以上,Rossiの原文から考えても,ドイツ語の語句の文法的な使用法としてみても,Rossiの文章としてマルクスが(恐らくマルクス自身がドイツ語に翻訳して)引用している"abstrahieren"は「捨象する」という意味とすることが妥当であることが分かった。この点をkamiyakenkyujo氏はあっさり認めて訂正されるのが潔い態度だと思われる。