フランス語版資本論「第六章 労働力の売買」から,こだわりのロッシの引用部分を考える

全体を読んだわけでもないのに恐縮であるが,フランス語版資本論の日本語訳の読み易さはずば抜けているのではないか。同書の上巻の訳者解題を読むと,フランス語版資本論は,『マルクスがみずからドイツ語第二版に筆を加えて,ジョゼフ・ロアにフランス語文…

動詞性名詞としてabstractionをとらえてみる

Wikipediaはありがたい。辞書を引かなくても簡単に探しているものにとりあえず行きつける。今回そう思った理由は,名詞にもいろいろあると思って,「名詞」を引いたからである。 そして「名詞」のWikipediaを引くと,「狭義の名詞」という説明があり,分類と…

ロッシはなにを考えていたか

前回のブログの記事の続きになるが,「資本論」においてマルクスはロッシの言説を批判している。しかし,「資本論」を読んで,マルクスがロッシの何を批判しているのかが分かり難い。それが,この間の記事で取り上げた問題の背景にある。ロッシの主張は,彼…

マルクスのArbeitsvermögenとHirngespinstについてのフランス語の原文の付加について

マルクス「資本論」第1部「資本の生産過程」第2編「貨幣の資本への転化」第4章「貨幣の資本への転化」第3節「労働力の売買」の中で,ロッシの本の文を引用して,彼の労働力の価値規定を批判するくだりがある(原典187頁第3段落から第4段落)。その引用部分は…

ドイツ難語句について

ドイツ難語句というサイトがあった。 ドイツ難語句/ギリシア・ラテン語句の意味 (ntaki.net) ここに,abstrahierenについての解説があった。ここで,上記URLの解説を採録させていただくと, 『 解説:どちらの意味になるかということですが:(1) 「aus etwa…

「捨象する FAIRE ABSTRACTION DE ...」について

フランス語で,"FAIRE ABSTRACTION DE"の意味について,参考になるブログがあったので,覚書として以下にメモする。 捨象する FAIRE ABSTRACTION DE ... - フランスに揺られながら DANS LE HAMAC DE FRANCE (goo.ne.jp) このブログの説明で,『最初、この ab…

場の源となる粒子の質量について

粒子が”中性”で場の源とならない場合、粒子の質量は粒子のみと言って良い。ところが粒子が場の源となっていて、その粒子が運動する場合、その粒子が源となっている場も引きずる。そうすると、その粒子の見かけ上の質量は、粒子のみだけでなく、その粒子が引…

場の中の粒子のエネルギーと運動量の関係

エネルギーと運動量を持つの場の中に、質量mの粒子があったとする。この粒子は帯電していて場からエネルギーと運動量を与えらえるものと仮定しよう。そのとき、粒子のエネルギーと運動量をそれぞれ 、とする。この場の中にある粒子のエネルギーと運動量の関…

電場とスカラーおよびベクトルポテンシャルの関係

そこで、場がいわゆる通常の保存力であるとし、さらに力積としても”保存力”であると仮定しよう。そして、場からの力は以下の式で与えられると考えるのは自然であろう。 また力とスカラーポテンシャルとベクトルポテンシャルの関係が上式のようなものであるの…

力の時間積分(力積)としてのベクトルポテンシャルの定義

基準点からある位置までの仕事を計算して、スカラーポテンシャルを求めるという話は良くある(というか、定義と言って良いかも)。しかし、基準時刻からある時刻までの力積を計算して、ベクトルポテンシャルを定義するという話が出て来ない。相対論的に考え…